080 今年はフィンテック(Fintech)とエデュテック(Edutech)の年!

金融を意味する「ファイナンス」と、技術を意味する「テクノロジー」を合わせた「フィンテック(Fintech)」という造語が、昨年は幅広く使われました。そして、今年2016年は日本でも金融とITを融合した技術革新が起こり、スマートフォン関連技術やビッグデータなどを生かした新しい金融サービスが、次々に誕生するだろうというコメントを多くのサイトや雑誌で目にします。

 

その意見の裏付けになったのが、年末12月28日にブルームバーグが発表した『ゴールドマンとJPモルガンか -「フィンテック」時代の最大の勝ち組 』というニュースでした。

 

この記事には「調査では、投資銀行業とトレーディングで最大級の収入をすでに生み出している2つの銀行JPモルガンとゴールドマンが、最も大きな勝ち組として選ばれた。モバイル決済がより一般的になり、ブロックチェーン技術が多くの法人ビジネスのコストを引き下げることから、両行と並ぶ勝ち組がクレジットカード会社のビザとマスターカードだろうと指摘された。」*1 とあります。

 

フィンテックに関して詳しくない方にとっては、難解かも知れませんが、無理にシンプルに説明するとすれば、インターネット上で行われるトランザクション(取引)を、分散型のコンピューターネットワークを使うことで、第三者機関を通さずにトランザクションのコンセンサス(合意)を得ることができるということです。

 

しかも、その取引にビットコインをはじめとする仮想通貨を使えば、銀行を経由ぜず、しかも国境も関係なく通貨のトランザクションができるので、ブロックチェーン技術(テクノロジー)の誕生は、インターネットの誕生に匹敵するくらい革新的な技術であり、もはや「銀行がなくなる」とまで言いだすヒトも出てきています。

 

自分の財布の中の1万円札が、明日も明後日も1万円相当の価値がある「貨幣価値が安定している日本」にいると仮想通貨の必要性を感じることは少なくですが、明日になると突然自分の銀行口座からお金を出金することができなくなった欧州や、ハイパーインフレが起こって貨幣の価値が大暴落した南米の国々の方からすれば、仮想通貨の方が遥かに信頼度が高いことでしょう。

 

さて仮想通貨の代表通貨であるビットコインの交換所である株式会社MTGOX(マウントゴックス)が一昨年の2月に破産したことで、日本ではビットコインに対する信頼度が急速に低下しましたが、例えるなら、円を扱う銀行が破綻したようなもので、ビットコインを扱うマウントゴックスが破綻したことで、ビットコインへの信頼度が下がることは、筋が違うのではないでしょうか?1998年に北海道拓殖銀行が破綻した際に円の信頼度が低下したか?と考えれば判りやすいです。

 

このマウントゴックスの破綻が起こったことで、日本はフィンテックの世界の流れに乗れませんでしたが、いよいよ今年その流れが日本にも来そうですね!

 

さて、次のエデュテック(Edutech)ですが、こちらは教育を意味する「エデュケイション」と技術を意味する「テクノロジー」を合わせた造語です。アメリカApple社は、最も普及しているタブレット端末iPadと、インタラクティブなデジタル教科書iBooksの組み合わせによって、教育市場への関与を強めようとしています。また、Google社もNexus 7などのタブレットデバイスとGoogle Play Textbooksでのデジタル教科書配信に取り組むことを発表しています。

 

最近では、フィリピン人など海外に在住する教師とスカイプを使って英会話を学ぶ「オンライン英会話スクール」が続々と増え、株式会社DMM.comは、1レッスン124円でサービスを提供しています。

 

このエデュテックの普及により、教育にかけるコストも極端の下り、世界中の教育格差は減る可能性も大きいです。しかし、その反面、少子化という向かい風を受ける日本の私立高校や私立大学は、さらに厳しい経営状態に追い込まれることでしょう。

 

しかし、エデュテックを推進する低額オンライン英会話スクールも、数年後に実用化される同時翻訳機の普及により、厳しい経営状態に追い込まれることでしょう。

 

フィンテックの普及によって、新しいビジネスがイノベートされ、留まっていたお金が動きだすことは、経済においてポジティブなことかも知れませんが、厳しい経営状態に追い込まれる銀行にとってはネガティブなことになりそうです。

 

また、エデュテックの普及によって、新しいビジネスがイノベートされ、教育格差が低くなることは、社会においてポジティブなことかも知れませんが、厳しい経営状態に追い込まれる学校法人にとってはネガティブなことになりそうです。

 

過去の成功に寄り添い創造的な経営を行わない企業にとって、2016年は厳しい年になりそうです。

 

*1:Bloomberg.co.jp 2015/12/28 19:00 JST発信『ゴールドマンとJPモルガンか-「フィンテック」時代の最大の勝ち組』より引用

 

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