030 教育心理学的にいう良いブログとは?そして良いブログを書く方法とは?

私は「いつの日か書籍を出版したい」と、今年の春から考え始めました。しかし、書籍を出版するためには10万字〜20万字のテキストが必要とされます。しかも、最初から最後まで充実した内容のテキストが必要です。そんなテキストを作成する練習と、どんな記事が読者にとって、有益なのかを調べることもブログを書き始めた理由です。読者の方が「どんな記事を読んで、どんな記事を読まないのか」ということを判断するために、読んでいただいた回数によって” Best 5 posts “と” Worst 5 posts “を表示することにしました。常に新しい記事が” Worst 5 posts “になることは仕方がないこととして、記事内容を考えるための読者さんからの評価というエビデンス(根拠)になります。

 

その” Best 5 posts “の上位に「027 ユニクロが突然売れなくなったという記事に対する大学教授たちの見解」という記事があります。その内容は、雑誌”週刊現代”の「マクドナルドの二の舞か?なぜだ!ユニクロが突然、売れなくなった」という記事に対する大学教授たちの見解をマトメて、それに対する自分のオリジナルな意見を書きました。アカデミックな世界では、ロジカル シンキング(logical thinking)といわれる「論理思考」で論じられた文章や、クリティカル シンキング(critical thinking)といわれる「批判的思考」で論じられた文章を要求されることが多く「思います」といった、主観的な意見を高く評価されることは少ないのが現実です。

 

しかし、大学や大学における卒業論文、修士論文、博士論文、或いは研究論文といったアカデミックな文章にはオリジナルが重要だと大変矛盾したことが語られます。東京大学大学院教育学研究科の教育心理学コース田中麻紗子 教授と、市川伸一 教授の共著論文「オリジナリティのある文献レビューに向けて -大学院の「講演者になるゼミ」の実践から-」(On the process of conducting a good review study: Tips from a “lecturer-like activity” at The University of Tokyo)は、そんな矛盾にメスを入れる興味深い論文です。その論文の中で以下の文章があります。

 

『レビューとは「過去の研究を改めて調査して全体を広く見渡したうえで、将来に向けて自分の意見を論じること」と考えることができる。レビューという作業には、「網羅的な知識を得ること」と、「独自に考えること」の2側面が必要といえる。教科書的なレビューをしがちな学生が見過ごしているのが、この独自性、すなわち主張のオリジナリティという側面である。

 

〜中略〜

 

多くの学生が陥りがちなレビューの形態が、「知識偏向型レビュー」である。 これは、文献の収集は網羅的であるが、主張への独自性が弱く、単なる知見の羅列に終始してしまうタイプである。しかし、とにかく自分なりの主張をすればいいというわけではない。「主張偏向型レビュー」とは、 知識偏向型レビューと対照的に、文献の網羅性は低いわりに主張ばかり強いもので、その主張を裏づける先行研究からの根拠に欠けるものである。せっかくのオリジナルな主張があったとしても、読者を説得する力を持たないという点で問題がある。 そこで、2つの側面のバランスのとれた理想的なレビューの形態が「模範レビュー」ということになる。 参照された文献が網羅的であり、さまざまな研究を踏まえたうえで、オリジナルで明確な主張を提示しているレビューということになる。本稿中でよいレビューとしているものはこれを典型とする。』

 

さらに「よいレビューの3要件」として以下の通り論じておられます。

 

よいレビューの要件A「網羅性:先行研究を広く網羅していること」
多くの先行研究を丁寧に読み、自分の主張を支えるデータとする。ただし、ここで解釈の 恣意性にも注意が必要である。どれだけたくさんの先行研究を引用したとしても、自分の主張を支持するために都合の良い研究だけを用いていたり、自分に都合よく勝手な解釈をしていたりすれば、レビューを受け取る側に偏った情報が与えられてしまう。

 

よいレビューの要件B「オリジナリティ:独自のアイデアを含むこと」
誰がしても同じようなレビューを書いても、読み手 に与える示唆が少なく、優れたレビューとはいえな い。もちろん、まだ誰もレビューしていない領域をレビューすることも新たな情報を提供するという意味では意義があるが、それにとどまらずオリジナルなアイデアを含むことが求められる。

 

よいレビューの要件C「わかりやすさ:読み手が理解しやすいこと」
わかりやすい発表や論文にするための大前提は、レビューに明確な問いがあることである。調査や実験などの研究と同様、レビューにおいても設定された問いに答えを提供することが目的となる。確たる問いが存在しなければ、レビュアーの主張も生まれないし、どのように文献を収集していけばいいかの指針も持ちえない。結果として、レビューの受け手にとってもレビュアーが何を伝えたいのかわからないということになってしまう。

 

また、オリジナリティーということについて、立正大学の斎藤 勇 教授は、著書「職場の心理学」の中で「オリジナリティーは生まれながらの能力ではありません。認知心理学では、人間の思考について、知識を用いて推論を重ねることとしていますが、豊富な蓄積を基に、さまざまな推測を重ねていくうちに、その人独自の発想に結びつくというもできます」と論じておられます。

 

これらの論文や書籍を読んで思ったことは、僕のブログには、まさしく市川伸一 教授が論じる「主張のオリジナリティ」が少ないということではないかと感じました。僕の書いた「027 ユニクロが突然売れなくなったという記事に対する大学教授たちの見解」という記事に対して「今回の記事良かったですよ。真悟さんらしくて。」というコメントをいただきました。良いブログとはそういうことなんですね!

 

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