081 あさが来たの主題歌「365日の紙飛行機」の歌詞「人生は紙飛行機」の意味

昨年年末の第66回NHK紅白歌合戦においてAKB48が歌った、NHK連続テレビ小説「あさが来た」の主題歌「365日の紙飛行機」は、既に多くの方がご存知の国民的流行歌です。

 

その「365日の紙飛行機」の歌詞の中にある「人生は紙飛行機」という歌詞の意味について「なぜ?」と思った方も多いのではないでしょうか?その意味を、既にご存知の方も多いと思いますが、今回は精神神経科学的に考えます。

 

さて、この「人生は紙飛行機」の作詞をされた秋元康さんは、「あさが来た」のスタッフからドラマの内容を聞いた際、女性の生き方への制限が大きかった時代に「時代」を言い訳にせず、冒険し続けたヒロインの「屈託のない生き方」に興味を持ち、ふと「紙飛行機」という言葉を思い浮かべたそうです。

 

さらに、「物語のヒロインはきっと屈託なく、人生の空を飛んでいったのだと思います!」とコメントしました。しかし、秋元康さんが「紙飛行機」という言葉を思い浮かべた本当の理由をどう語ったか?それについてのマスコミの報道を見つけることはできませんでした。

 

いくつかの個人ブログでは、多くの解釈が生まれました。例えば、「紙飛行機は無理に力を入れたり、考えすぎると上手く飛びませんが、上手に飛んだ時は風と友達になるかのように飛んでいく様を模した」という解釈や、「紙飛行機のように真っ直ぐな気持ちを模した」など様々です。

 

ところで、秋元康さんは、多くの日本国民が知る大物プロデューサーであり、AKB48だけでなく、おニャン子クラブという大ヒットアイドル グループをプロデュースしました。

 

それだけではなく、ザ・ベストテン、オールナイトフジ、夕やけニャンニャン、と大ヒット番組の構成を担当し、高視聴率を挙げ、小泉今日子さんの「なんてったってアイドル」、とんねるずさんの「雨の西麻布」、美空ひばりさんの遺作となった「川の流れのように」などの作詞も手がけた “大ヒットメーカー”です。

 

最近では、AKB48の姉妹ユニットとして、名古屋・栄のSKE48、大阪・難波のNMB48、福岡・博多のHKT48、新潟のNGT48、インドネシア・ジャカルタのJKT48、中国・上海のSNH48 をプロデュースする傍ら、2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事も務められています。

 

こういうヒットメーカーさんは、その多彩な才能と経験から、学ばずしも精神神経科学的な戦略をとられることを多く見かけます。

 

今回の「365日の紙飛行機」の歌詞「人生は紙飛行機」というフレーズを聴いて、多くの方が「どういう意味なの?」と思うことも、ヒットの要因の一つです。

 

これは「人生」という大きなテーマと、「紙飛行機」という小さくて繊細なモノが「同じです」という意味が判らないことから起こる2つの心理学的理論が影響していると考えられます。

 

ひとつ目は「原因帰属理論」です。新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科 碓井真史 教授は、原因帰属理論を次の通り定義づけされています。

 

私たちは、様々なものを見たり、聞いたり、自分で体験したときに、なぜ、どうしてと、その原因を考えます。原因をどう考えるかによって、その時の感情や、その後の行動が変わってきます。どんなときにどんな原因を考えるか、その結果どうなるのかを考えるのが「原因帰属理論」です。*1

 

この原因帰属理論によると、ヒトは「なぜ?どうして?」と思った瞬間、その原因を考えてしまうということです。つまり聴き流せなくなってしまいます。

 

さらにその状態で「認知的不協和(cognitive dissonance)」が作用します。

 

認知的不協和は、アメリカの心理学者であり、社会心理学であったレオン フェスティンガー(Leon Festinger)が1957年に発表した「A Theory of Cognitive Dissonance. (認知的不協和の理論)」という実験結果に基づく報告に含まれる概念です。

 

レオン フェスティンガーによる認知的不協和の命題には、大きく2つありました。ひとつ目は、「不協和の存在は、その不協和を低減させるか除去するために、なんらかの圧力を起こす。」つまり、複数(通常は二つ)の要素の間に不協和が存在する場合、一方の要素を変化させることによって不協和な状態を低減または除去することができる*2 ということ。

 

ふたつ目は、「不協和を低減させる圧力の強弱は、不協和の大きさの関数である。」つまり、認知的不協和の度合いが大きければ、不協和を低減させる圧力はその度合いに応じて大きくなる。*2 ということです。

 

この、原因帰属理論と、認知的不協和から、「人生は紙飛行機」ってどういうこと?人生と紙飛行機って全然関係ないど?・・・と強く意識が持っていかれるわけです。

 

こういうことを意識せずに考えられることが、秋元康さんが天才プロデューサーである理由ではないでしょうか?

 

*1 :心理学総合案内「こころの散歩道」/ 社会心理学入門、出会いの道 碓井真史著より引用

*2:Wikipedia日本語版「認知的不協和」より引用

 

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