018 なかなか部下が育ってくれないと嘆いている上位者の方々へ

最近、弊社で若手WEBデザイナーの退職者が続きました。これは、デザイン制作会社では大変厳しいことです。もちろん、優秀なWEBデザイナーを探すことが急務なことは確かです。もし、このブログを読んでいる方で、優秀なWEBデザイナーをご存知の方がいらしたら是非ご紹介ください。でもその前に、同じ事態を招かないように「なぜ若手WEBデザイナーの退職者が続いたのか?」その原因を追求することが先決ですね。


その真意は、退職希望者の本音でしか分からないことですが、僕はOJT(On-the-Job Training)の失敗だと分析しています。当然ながら、デザイン制作会社における社員の多くはデザイナーです。その殆どは入社前に専門学校などで、約2年間アプリケーションの技術スキルを習得して、入社してきます。さらに、入社前の面接では一通りの技術スキルがあるというので、入社直後から実務を任せてしまいます。ところが「新人の考える技術スキル」と「実務の技術スキル」には大きな差があります。そこを見逃して、OJTを進めてしまうので新人はストレスを受けてしまいます。


早稲田大学第一文学部哲学科社会学専攻出身で『発想力の冒険 – 発想の限界を破る思考プログラム』の著者である高沢 公信 先生は、OJTを行う管理者にとって、部下育成、部下指導は、明日の組織づくりそのものと論じ次のように続けています。


それは、今日より明日の戦力を増強することです。
それは、自分の後継者を育てることです。
それは、明日の人材をつくっていくことです。
それは、一歩先を見た仕事をしていくことです。


さらに「部下を育てられないものに、組織を明日へ向けて束ねるリーダーシップはありません。管理者は自分の預かるチームや部署の目標を達成するために、ヒト•モノ•カネ•情報•ノウハウ•時間といった資源をいかに有効に配分していくかが仕事です。OJTは、昨日より今日、今日より明日へと、ヒト資源のレベルアップをはかることに他なりません」と書かれていて、僕も同感です。ここまで、読むとOJTを目的化したくなりますが、新人個人の成長目標(こうなりたい)と、組織の望む新人個人の成長目標(こうなってほしい)が、一致するとは限らないので、OJTを目的化しない方がよく、ではどう考えれば良いか?


当然ですが、OJTに最適な部下を採用することです。では、OJTに最適な部下とはどういう部下か?それは「自分が努力すれば,周囲や自分に好ましい変化を生じさせられるという自信と見通し」を持っていること。つまり、努力の主体が自分であるとする自律性の感覚が不可欠であるということです。能力には、期待される役割を把握して、それを遂行し、その期待に応えていける能力と、英語ができるといった個別の単位能力がある。おかれている状況を把握し、それに応えた自信でなければ,他のメンバーの阻害要因になるだけ。さらに、自分が期待されている役割を自覚し、それを遂行する能力が重視されるのは、自分がそこで“何をすべき”かを自覚し、自らの果たすべきことをどうすれば実行できるかを実施して、アウトプットとしての成果につなげていける総合的な実行力こそが求められる。最終的に、個人にとっても組織にとっても、育成目標のはずである。そして、次のプロセスが重要である。


① 目標を自分自身で設定する。
② 目標に到達するにはどうすればいいかを自分で見つけ出しチャレンジする。
③ 自分が重要だと思う価値に基づいて、何をすべきかを自ら決定する。
④ 達成には、現有の能力では不足しており、それを伸ばさなくてはならないと感じること。
⑤ 達成した結果について、自分が重視している人から認知されること。


と高沢 公信 先生は、論じています。どうですか?経営者や上位者の方々で共感できる方が多いのではないでしょうか?そして、このプロセスにおいて新人に必要なことは、セルフモニタリング(self-monitoring)です。セルフモニタリングとは、認知行動療法で用いられることのある認知的技法で、自分を観察することによって、気分が悪くなるときは、どんなことを考えているのか、どんなことを考えているときは、気分が悪くならないのか、など客観的に自分が考えていることを理解すること。このセルフモニタリングができる能力が備わっていないと、OJTは難しいようです。こう考えると、弊社がなぜOJTに失敗したのか?が分かってきました。あなたの職場でOJTがどのように活かせるか検討してみてください・・・


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