090 「アラフィフー男性=熟メン」は、なぜモテるのか?

アラサー、アラフォーと来て、最近では「アラフィフー」という言葉も聞かれるようになりました。キッチリとした定義はないようですが、四捨五入で語られているとすれば、アラフィフーは、45際から54歳までを指す言葉なのでしょう。

 

その世代の男性は「アラフィフー男性」(男子と言いません)、またの名を「熟メン」と呼ばれ、どうも若い女性から人気があるようで、10歳以上若い女性との結婚が増えているそうです。

 

音楽関係では、EXILEの HIROさんが46歳で16歳若い上戸彩さんと結婚、L’Arc〜en〜Cielのtetsuさんも45歳で16歳若い酒井彩名さんと結婚、ドリカムの中村正人さんはアラフィフーではありませんが56歳で29歳若いマーキー(HIGH and MIGHTY COLOR)さんと結婚。

 

俳優さんでは、高橋克典さんが50歳で15歳若い中西ハンナ(モデル)さんと結婚、阿部寛さんも50歳で15歳若い一般女性と結婚、田中哲司さんは48歳で14歳若い仲間由紀恵さんと結婚、堤真一さんは50歳で16歳若い一般女性と結婚。

 

お笑い界では、松本人志さんが51歳で19歳若い伊原凛(元タレント)さんと結婚、ラサール石井さんはアラフィフーではありませんが59歳で32歳若い桃圭さんと結婚。

 

ビジネス界では、マネックスグループ社長兼CEOの松本大さんが51歳で15歳若い大江麻理子(アナウンサー)さんと結婚、おちまさと(プロデューサー)さんは49歳で22歳若い河辺千恵子(タレント)さんと結婚、とアラフィフー男性が20代〜30代前半の若い女性と結婚するケースが珍しくないようです。

 

草食系男子「お嬢マン」が日本を変える(講談社)、【年の差婚】の正体(扶桑社)、独身王子に聞け!(日本経済新聞出版社)、「ゆるオタ君」と結婚しよう!(講談社)の著者で、ホンマでっか!?TV(フジ系)などのコメンテーターも務めるマーケティングライターの牛窪 恵さんのWEB記事によると、「50代・60代の有名芸能人が次々と20歳以上も年下の女性と結婚していることをどう思いますか?」と20~30代の女性にアンケートしたところ、意外にも「自分はできないが、理解はできる」が39%、「魅力があれば結婚もありだと思う」が19%と、理解を示す女性が過半数を占める結果に。ちなみに「50代・60代の男性に感じる魅力」についても聞いたところ、TOP3は、1位 経済力がある。2位 人生経験が豊富。3位 些細なことで怒らない。という結果になったそうです。

 

さらにその深層心理を「最近の20代男性は、恋愛でも積極的にアプローチしてこないし、割り勘は当たり前という草食系男子が多いですよね。それに比べて“熟メン”と呼ばれる50歳以上の男性は、バブル時代を経験していますから、おいしいお店に連れていくといった女性が喜ぶことも知っているし、仕事や人生相談にも乗ってくれるので、頼りがいもあるところが魅力的に映るんだ」と分析しました。

 

また別の理由として『大きく分けると2つあります。まず1つ目は、同世代の若い男性が恋愛に対して消極的になっているので、女性側が「このままでは結婚できないかも」と不安になっていること。だから結婚を意識したときに、草食系男子である同世代の男性よりも知識や経験が豊富で頼りになる“熟メン”に魅力を感じるのだといえます。

 

2つ目は、20代女性の“熟メン”に対するイメージが変化していること。20代女性の父親世代である50代・60代の男性は、以前と比べて若くて元気な人が増えていますよね。また「お父さんの物と一緒に洗濯するなんて、ありえない!」と嫌われていた昭和のお父さんイメージは薄れ、父親を生理的に受けつけない娘も減ってきています。このように、父親との関係性がうまくいっている20代女性が、“熟メン”に父親のイメージを重ねて、“熟メン”の年代までOKとしている傾向が高いといえます』とも分析されています。

 

しかも、離婚率の増加でバツイチ・独身の“熟メン”は増え、またバブル崩壊時の経済不安などで結婚に踏み切れなかった初婚男性も少なくないという環境も影響しているそうです。ちなみに、20代・30代の草食系男子は「自分より稼いでくれる年上女性」と付き合う人が増えているのだとか。男女ともに年の差婚は今後もトレンドになりそうだそうです。*1

 

これまで書いたことだけでは判りませんが、このアラフィフー男性がモテる理由や、20代・30代の草食系男子で年上女性と付き合う人が増えているのかという理由には人間行動進化学が影響しているようです。

 

国際人間行動進化学会の学術雑誌『Evolution and Human Behavior(進化と人間行動)』に掲載された、フィンランドのアボアカデミー大学の研究で、12,500人の男女にパートナーの実際の年齢と、最も魅力的あるいは理想とする年齢を質問した結果「男性にとっての理想の女性は何歳になっても“20代半ば”」と報告されました。

 

アラフィフー男性つまり50代の男性に理想の女性を尋ねると、半分の年齢になり、また、20歳の男性に理想のデートを述べてもらうと、少し年上の女性を選ぶ。つまり、何歳の男性にとっても20代半ばの女性は憧れの存在でした。

 

ところが、最近発表された研究によると、男性よりも女性の理想の年齢の方が男女の性的な関係には反映されやすいことが分かりました。つまり、性的な関係を結ぶ上では、男性の方が年齢の理想を妥協しやすいということです。

 

これは基本的に、恋愛は女性の方が男性よりも主導権を握っており、特に性的な関係に関しては女性の方がパートナーを選ぶ立場にあり、性的な関係においては女性の年齢に対する理想が反映されやすいからだそうです。

 

平均すると、女性は人生を通して一貫して、自分と同じ年齢からいくらか年上の男性に惹かれやすく、女性は自分の年齢を基準にしてパートナーの理想の年齢が動いていくことが多いそうです。

 

フィンランドのアボアカデミー大学の研究によると、その理由を、20代半ばの女性は繁殖力が高く、子どもを産んで男性の遺伝子を継承する可能性が高いからだとしています。

 

さらに、女性が同年齢または年上の男性に最も魅力的だと思う理由について「少し年上の男性のほうが若い男性よりも家族を育てるためのお金と安定性を持っている可能性がある」*2 だらかであると報告しました。もう旬を過ぎたと寂しい想いをしているアラフィフー男性にとっては、寒い季節にはありがたい暖かい研究報告ですね!

 

*1:取材協力 牛窪 恵『20代女性が50代以上の熟メンに魅かれるワケ』(2012/6/6 11:00 セキララ★ゼクシィ)参照
*2:リプトン和子著『男性はいくつになっても「20代半ばの女性が理想」と研究で明らかに』(2014/09/26 wotopi)参照

 

進化と人間行動