027 ユニクロが突然売れなくなったという記事に対する大学教授たちの見解

2015年07月27日発売の「週刊現代」7月25日・8月1日合併号に「マクドナルドの二の舞か?なぜだ!ユニクロが突然、売れなくなった」という記事が掲載されて、話題になりました。その記事を読んだ方も多いと思いますが、その中に大学教授のご意見があったのでマトメてみました・・・

 

【早稲田大学 大学院 商学研究科 長沢伸也 教授】

 

「私はユニクロの経営そのものが節目を迎えていると思います。彼らがこれまで築いてきたビジネスモデルに、限界が訪れたのではないでしょうか」*

 

「ユニクロの本質的な弱点は、服と言うより『モノ』を売っているにすぎないことです。せっかく世界最高峰の素材と技術を持っているのだから、今後はファッション性を取り入れるべきだと思います。新しくブランドを立ち上げ、今とは逆に、高価格でデザイン性の高い日本製の服も展開する。ユニクロブランドだけでは、海外展開を進めてもいずれ頭打ちになるのは明らかですから」*

 

【慶應義塾大学 商学部 白井美由里 教授】

 

「・・・生地も縫製もしっかりしていて長持ちする。ヘンな柄やイラストのついたものが少なく、シンプルだから誰にでも似合う。何より、いつ店に行っても安かった。しかし今、こうしたユニクロの美点が「強み」ではなく「弱み」に変わろうとしている。円安や材料費上昇などの要因で、値上げを余儀なくされているのが、最大の理由だ。」*

 

「ブランドの内的参照価格が低いのに、商品の値段だけが吊り上がっていくと、客は強烈に『損をしている』と感じます。この内的参照価格はブランドイメージと直結していますが、ユニクロの場合は当然、あまり高くありません。」*

 

【神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー 長田貴仁 先生】

 

「少なくともユニクロの商品は「安かろう、悪かろう」ではない。だが、あくまでもユニクロは「安物の中では質がいい」だけにすぎないというのが、消費者の率直な感想だ。これから「ユニクロなのに高い」商品が増えたとき、日本人はそれを許すのか。」*

 

「消費者は常に、ユニクロに対して『次は何をやるんだろう?』という期待感を持っています。それなのに、今のユニクロには変化が乏しいのです。日本の消費者は、すでにユニクロの服そのものにはあまり魅力を感じていない。それよりも、ヒートテックのような『他では買えない高機能製品』を待ち望んでいる。そういう商品を次々に出さない限り、今までのような成長は難しくなってくるでしょう」*

 

・・・皆さん、これらの大学教授たちの見解を読んでどう思いますか?僕は、どのご意見にも共感ができないというのが正直な感想です。「服と言うより『モノ』を売っているにすぎない」といわれても、ヒートテックのお陰でウィンタースポーツを快適に楽しむことが出来たし、「今後はファッション性を取り入れるべき」といわれても、ユニクロのファッション性は、日本のトップレベルだと僕は感じています。ただし、そのレベルに現ユーザーが到達していないからファッション性がないと思われているのではないでしょうか?ユニクロの商品は同じアイテムでもシルエット、カラー、サイズが多彩なので、選ぶ側にセンスがないと決まりません。しかも、販売員の数と質のレベルが低いことが、そのことを増幅させていると感じています。

 

日本のアパレル業界自体がシュリンクし、同時に海外のファストファッションが続々と上陸する時代に、必死になってジャパンブランドを築いてきたユニクロが、そもそもダメでしたと、後出しじゃんけん的に論じられても何だかシックリしません。僕自身、今もユニクロは大好きなブランドの一つだし、Jil Sanderとのコラボ “+J” が全盛の頃は、スーツやシャツを全色買いしました。そして、今でも大切に着ています。僕にとっては、既製品でこれほど自分のスタイルをきれいに見せてくれるスーツは他にありませんでした。皆さんの中にも、ヒートテックやエアリズムを買い尽くして、最近はユニクロに行かなくなったという方が多いと思います。

 

シンプルなデザインの多いユニクロですから、行き渡ってしまえば、その先がないことは誰もが想像していたでしょうし、そのためには海外に市場を求め続けるしかなかったことも理解していたと思います。それではユニクロのビジネスは失敗だったのでしょうか?1991年に30店舗で、売上約70億円だった企業が、今は全世界3000店舗で、売上1兆6500億円と、25年で200倍以上になり、その間で得られた利益は膨大な金額です。この先その資金をいかに運用し、新しいビジネスを展開して行くのかでユニクロのビジネスが成功なのか失敗なのかが決まるでしょう。僕はこの先もユニクロが成長するためにはユーザーのファッション教育しかないと感じています。現代の日本の一般的な教育プログラムの中にはファッションを教える課程がありません。もちろんMBAの課程で「経営者に最適なファッション」を教える講義も聞いたことがありません。そこが問題ではないでしょうか?僕はこの先もユニクロを日本のTop Brandとして応援し続けたいと思います。

 

*「週刊現代」7月25日・8月1日合併号より引用

 

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