036 これからのシニア世代の職場にクラウドソーシングは最適
研究員としてではなく、私が仕事としているプロモーションに関わるクリエイティブ業界の給与相場は近年下降傾向にあります。その最大の理由は「クラウドソーシング(crowdsourcing)」の拡大にあります。クラウドソーシングとは、crowd(群衆)とsourcing(業務委託)からなる造語です。WIRED Magazineの編集者であるジェフ ハウ(Jeff Howe)は、2006年6月のWIRED誌の記事「クラウドソーシングの台頭(The Rise of Crowdsourcing)」で、クラウドソーシングの定義を以下の通り発表しました。
『クラウドソーシングは、かつて従業員によって実行されていた機能を、公募するような形で不特定(かつ一般的には大規模な)人々のネットワークにアウトソーシングする企業や機関の行為のことを指す。これは、集団労働(作業が協調的に取り組まれる場合)の形を取ることができるが、しばしば、単独の個人によっても行われる。重要な前提条件は、公募形式と潜在的な労働者の大規模なネットワークを使用することである。』
もう少し簡単に要約すると「従業員がおこなう仕事を、ネットワーク(Internet)を使って個人に公募する」ということになります。日本最大級のクラウドソーシングサイト ランサーズから、Yahoo!クラウドソーシングまで日本語ベースのサイトだけでも、20サイトくらいはあります。さらに、矢野経済研究所の『BPO市場・クラウドソーシング市場に関する調査結果2013』というレポートによると、国内クラウドソーシングの市場規模の2013年の見込が24,620百万円だったのに対して、2017年には147,380百万円と何と6倍!2015年の予測61,810百万と比較しても、2年で市場規模が倍以上になる予測を発表しています。*1
また、大手クラウドソーシングサイトの株式会社クラウドワークスは「受注する側の利用者の年齢層については、女性は30代の子育て層にも人気が出ており、シニア層についてもクラウドソーシングの利用者が増加傾向にあるなど、幅広い性別及び年齢層での利用が進んでいる。」と発表しました。さらに、シニア世代(50歳以上)の登録人数は2012年6月からの1年間で約14倍となっており、さらに利用者の最年長は85歳だそうです。このようにシニア世代においても、急速にインターネットを活用して、仕事を受注しようとする動きが加速しているとも発表しています。
さらに驚いたことに、事業構想大学院大学の発表によると、ランサーズで一番高収入を得ている男性は宮崎在住の50代で、年収1500万円を超えるそうです。*2 この宮崎在住の50代男性が特別ということではなく、クラウドワークスの利用者の12%の人は年間500万円以上の収入を得ており、全世代のサラリーマンの平均年収を大きく上回っているそうです。
では、その収入を得るために、どのようなライフスタイルで暮らしているかというと、ASCII.jp働き方研究所が公開する『人はクラウドソーシングで食べていけるのか?4人の先人に聞く』という記事の中で、沖縄在住 61歳の良さんは、NHKでクラウドソーシングのTV番組を観たのがきっかけで、クラウドワークスに登録し、現在のライフスタイルについて「僕は歳いっているので、朝早くです。23時に寝ると、3時くらいに目が覚めるので、4時前にはパソコン開いてますね。朝は静かで、沖縄はけっこう鳥が鳴くんですよ。すごく気持ちいいです。そんな中、午前中にバーっとラフを作って、午後くらいに仕上げる感じ。おそらく14時間くらい働いてますが、あっという間です。」と語っておられます。*3 一日14時間労働となると決して楽な仕事とはいえませんが「あっという間です」というお言葉から、苦痛ではないと感じられます。
さらに、良さんは仕事のやり甲斐について「どんな案件が待っているのか、パソコン開けるのが、楽しみです。あと、クラウドワークスでは評価の欄があるのですが、びっくりするくらいべた褒めされたことがあります。うれしいんですけど、こちらが恐縮します。」*3 とコメントされています。企業にいれば、シニアになって「べた褒めされる」なんて経験はなかなかできないでしょう。
この良さんのように沖縄に住んだり、ハワイに移住してクラウドソーシングで仕事をしている方も少なくなく、クラウドワークスで実際に仕事を受注している方の75%が東京以外の場所で受注しているそうです。
これらの情報を要約すると「利用者の12%の人が年間500万円以上の収入を得ている市場が、2年で倍以上成長しており、そこに年14倍のシニアが参入し、そこで一番高収入を得ている人はシニア層の男性で、宮崎、沖縄、ハワイなどで、べた褒めされることもありながら、楽しく仕事をしている。」ということになります。
どうですか?シニアの皆さん、この先が明るくなって来ましたよね!クラウドソーシングに興味をもった方はご相談に乗りますよ!
*1 総務省『ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト」参照
*2 事業構想大学院大学ホームページ
*3 ASCII.jp働き方研究所ホームページ