065 人的資源の活性化にはフェイスブック経営が最適です

フェイスブック社のマーク ザッカーバーグCEOが、2015年11月4日(米国時間)発表の四半期決算で、同社の売上高は45億ドル(約5,470億円)であり、前年同期から41%増加と過去最高売上を更新し、同時に四半期として過去最高益も更新したと発表しました。一方、ツイッターは、純損益が1億3169万ドルの赤字と、米国のソーシャル ネットワーキング サービス(SNS)業界の明暗を分けました。

 

さらに、フェイスブックの月間アクティブユーザー数(MAU)は15億5,000万人で、こちらも前回発表の14億9,000万人から増えています。さらに驚いたことに、15億5,000万人の月間アクティヴユーザー数のうち、13億9,000万人が、モバイルデヴァイスからアクセスしたユーザーだったそうです。

 

日本でフェイスブックと比較されることの多いLINEのMAUが約2億1,100万人(2015年第2四半期時点)なので、フェイスブックはその7倍以上のMAUがあるわけです。ちなみに、LINEの売上高は、2015年第2四半期(4月〜6月期)の発表によると前期対比37%増ですから、伸張率から見ても、やはりフェイスブックの方が高いわけです。

 

そんなフェイスブックを経営に取り込むことを、僕はお勧めをしています。そもそもフェイスブックは、プライベートな交流を目的として始まったサービスですが、最近では「Facebookは、友達や同僚、同級生、近所の人たちと交流を深めることのできるソーシャルユーティリティサイトです」と公式ページに表記がある通り「同僚」とビジネス ソーシャルも含むと、その利用範囲を広げています。

 

確かに、プライベートな投稿を前提としているわけですから、上司や部下と「お友達」の関係になることに障壁はありますが、仕事関係など、個人的なつきあいをしない相手は、「友達」承認時に「知り合い」に設定して、公開したくない内容を投稿するときに「知り合い以外の友達」を選択するという方法もあります。

 

ビジネスでの使い方としてお勧めしているのが、会社や部署で「秘密のグループ」を作り、メンバーが行動予定と行動報告を投稿(POST)し、それに対して上司や同僚がチェックをするという非常にシンプルな使い方です。POSTの内容は(Whom)誰に会うかまたは会ったかと、(What)何をするか、またはしたかというこれまたシンプルな内容からスタートします。

 

そうすることで、会社や部署のメンバー全員が、昨日誰に会って何をしたか?今日誰に会って何をしているのか?が把握できるようになります。たったこれだけのシンプルな行動で、メンバー全員の行動が把握できるという夢のような状態になります。そしてそれが習慣化すると、誰に会って何をしているのか?に対して、今後どうするか?を加え、投稿者が小さなコミットをするように発展させます。

 

さらにそれが習慣化すれば、上司はその小さなコミットと実際の結果を見るという評価軸が生まれます。それまで何となく上司の好き嫌いで評価を行っていたことが、システマチックな評価制度へと発展していきます。これは、KPI(Key Performance Indicators,重要業績評価指標)設定にも繋がる概念です。もちろん「言った、聞いてない」という電話時代のようなトラブルも激減しますし、業務の効率化が望めます。

 

さらに、部署だけではなく同等の階層で「秘密のグループ」を作り、他部署との横の連携を作り、自分の部署で誰に対して何をやろうとしているのか?あるいは、誰に対して何をやろうとしているのか?という情報を共有することも容易です。と、ここまではご存知の方も多いと思いますが、フェイスブックを利用した経営には、もっと大きなメリットがあります。それは「意思共有」です。

 

ドイツの社会心理学者クルト レヴィン(Kurt.Lewin)が発表した「場の理論」という概念があります。この概念には、B=f(P・E)という、人間行動(B)は、個人(P)と環境(E)によって常に変化するという公式が含まれていますが、それ以外にも「周囲がどのような仕事をしているか知らず、牽制・相互補完機能が作用していないとよいチームワークは保てない」とあります。

 

この点からもフェイスブックを利用した経営には、大きなメリットがあると言えますし、オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家のアルフレッド アドラー(Alfred Adler)博士も「他人と協力して一つのことをやり遂げると達成感が高い」と論じています。

 

フェイスブックの秘密のグループでは、メンバーがPOSTをすると他のメンバー全員がそのPOSTを読みます。つまり仮想的に一致団結の状態になります。そして、次のPOSTが書き込まれると、次の案件に対して全員参加の状態になります。リアルであれば会議やミーティングで、ひとつのAgendaに対して全員で検討するのと同じ状態ともいえます。言い換えれば常にミーティングしている状態に近いわけです。

 

多くのメンバーが読んでいるのに自分だけ「聞いていません」と言えないし、意見するチャンスも常に与えられている状態ですから、リアルのミーティングよりも強要性が高いと言えるかも知れません。ですから「部下が意見を発言しなくて困っている」と嘆く経営者にとっては有難いのではないでしょうか?しかも、これだけ有効性が高いサービスながら「利用無料」なわけですから、ビジネスに使わないのはもったいないと思います。

 

僕は、経営不振はコミュニケーションの欠如から始り、その改善には「フェイスブック経営」が有効な手段だと考えています。

 

064 人的資源の活性化にはフェイスブック経営が最適です