038 あなたは知らない人のことを”なんとなく”で評価していませんか?

8月も終わりに近づき、小中高生は夏休みも終わり学校へ戻る時期になりました。僕のオフィスのある表参道〜原宿エリアも、ようやく落ち着きを取り戻すでしょう。ところで、夏休みの間、表参道〜原宿エリアで、夜遅くまで若者がウロウロしているのをみかけると、素行が悪い子なのかなぁ〜なんて思います。でも、本当に素行が悪い子かどうかはわかりませんよね?地方から家族旅行で夜の原宿に来て、一時的に家族と別行動しているのかも知れないし、実は近所の住人で病気で寝ている両親に代わってコンビニに買い物に出かけているだけかも知れません。

 

このように一見して「悪い子」と決めつけてしまうことを、ネガティブハロー効果といいます。その逆で、例えば、社内でデスク周りのきれいな人のことを、仕事をバリバリこなせる人と思い込むように、あるひとつの特徴により、別の側面の評価が高くなることを「ポジティブハロー効果」といいます。そして、ネガティブハロー効果と、ポジティブハロー効果を総称して「ハロー効果(Halo effect)」といいます。

 

このハロー効果と同じような概念に、ラベリング理論(Labeling theory)という理論があります。ラベリング理論は、1960年代にハワード・S・ベッカー(Howard S.Becker)によって提唱された理論であり、著書『完訳 アウトサイダーズ+ラベリング理論再考』の中で以下の通り論じました。

 

『社会集団は、これを犯せば逸脱となるような規則をもうけ、それを特定の人々に適用し、彼らにアウトサイダーのラベルを貼ることによって、逸脱を生みだすのである。』

 

もう少し分かりやすく例えていうと、原宿で深夜にウロウロしている少年がいたとします。そして、その少年が自分のことを「自分は非行少年だ」と思ったとしても、それだけでは非行少年とはならないという理論です。じつは、周りの人が「彼は非行少年だ」と、ラベル付けして、非行少年として扱うことによって、初めて成り立つということです。さらに、ラベリングされた逸脱者は、そのラベルつまりこの場合、非行少年的行動を強化していくという理論です。じつは、この少年の素行の一面に問題があっただけで、他にどんなにすばらしい面をもっていたとしても、ラベリングされ、周囲にそのように扱われることで、問題の行動がより悪化してしまうという理論です。

 

さらに、ラベリング理論は、このような子供の非行行動だけでなく、皆さんが毎日お仕事をする職場でも起こると考えられていて、出来ない部分だけを見て、その人を「仕事ができない人」と決めつけてしまうことがあります。同僚や上司が「仕事ができない人」と決めつけてしまうことにより、本人は益々自信をなくし、出来ていたことも出来なくなるという悪循環も出てくるということです。

 

もちろん、家庭内でも親が子供に対して「勉強ができない子」と決めつけてしまうことにより、本人は益々自信をなくし、出来ていたことも出来なくなるという悪循環も起こります。

 

僕自身もそうですが、人は誰しもが、プラスの側面とマイナスの側面を持ち合わせています。一部のマイナスの側面だけを見てラベリングするのではなく、多面的に評価しプラスの側面をラベリングすることが大切です。そして、周囲がその部分を認めていくことが、何より重要です。

 

みなさんご存知の大阪府寝屋川市で起きた「中1男女殺害遺棄事件」は、本当に悲しい事件でした。そして、その報道から「そもそも深夜の商店街を子供だけで歩かせている両親の教育に問題がある」という意見をSNSで見かけますが、これも、ご両親にどんな事情があったのか?ご両親がどんな人であったのか?十分に情報がないのに語ることが、ネガティブハロー効果であるし、既に不幸のどん底にいらっしゃるご両親が、ラベリング理論によって、この先もっと不幸な人生にならないことを祈願します。

 

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