045 じつは先日のブログは”スプリット ラン テスト”でした

ニューロマーケティングは、脳内の血流や脳波を計測することで、消費者心理や行動の仕組みを解明し、マーケティングに応用しようとする概念です。当然ながら、ヒトは脳内の血流や脳波を意識して変えることは困難なので、無意識領域の消費者の意思決定のプロセスを解明し、マーケティングに応用しようとする概念ともいえます。そして、その調査方法としては、主に脳内の血流を策定するfMRIや脳波を測定するEEGなどがその代表例です。でも、それらの大掛かりな医療機器を使った環境下は、既に無意識領域ではなく「測定されている」と強く意識しているので、適正な調査はできないという意見もあります。そんな問題を克服するために、ニューロマーケティングの領域を離れて、シンプルにA案とB案を試す「A/Bテスト」を行うことが頻繁にあります。

 

話は変わりますが、このブログを書き始めて、今回で45回目になります。その記事の中で、どの記事がたくさんの方に読んでいただけたか?あるいは、どの記事が読まれなかったか?その傾向を知るために、PCで閲覧していただいている方は左側、スマホで閲覧していただいている方は、最下段に、ページビューが多い順に自動的に表示する「Best 5 posts」と、ページビューが少ない順に自動的に表示する「Worst 5 posts」を表示するように、プログラムしてあります。ですから、これらの表示はある意味、みなさんの無意識領域の蓄積ともいえるかも知れません。そして、その結果を分析していてあることに気がつきました。

 

その「あること」とは「月曜日に投稿する記事は多く読まれている」ということです。でも、この段階だと仮説に過ぎませんから、やはりマーケターとしては検証する必要があります。・・・ということで「 起業家を創出するために私たちにできることは何か?」と、タイトルがほぼ同じ記事を、曜日別に投稿してみました。その結果は「必ずしも月曜日の投稿が多く読まれるわけではない」というものでした。もちろん一回だけの調査では判らないし、同じタイトルが続くと飽きてくるし、内容も想像できるので読まないという方も多いだろうとも想像できるので、エビデンスとして不適切だと思います。しかし、それでも「必ずしも」でないことは判ったので満足です。研究とは、そんな僅かな前進の蓄積だと思います。

 

ところで、僕はプロモーション メディアの制作のお仕事をしていますが、クライアント様に、パンフレットやウェブサイトのデザインについて「A案とB案のどちらが集客につながりますか?」と質問されることがあります。そんな時には「じつは判りません」と、正直にお答えします。同じ業種で、過去にA案かB案のどちらかで成功した事例を知っていても、立地・顧客・時期・・・と多くの環境に違いがあるハズです。ですから、過去にA案が成功したからといって、この先ずっとA案が成功するとは限りません。さらに変化が激しい現代では、過去はA案で成功したから、次はB案だという意見があっても不思議ではありません。

 

大切なことは、過去の成功に縛られず、A案もB案も試して、見えない「成功の芽」を摘みとらないようにするべきです。もちろん、そのためにはA案とB案を迅速に試す必要があります。このようなマーケティング リサーチ手法を「スプリット ラン テスト(Split Run Test)」といい、広告、DM、Webページ、メールマガジンなどの費用対効果をはかるために導入されています。

 

ニューロマーケティングにしても、これまでのマーケティングにしても、定説とされている一般論を信じ過ぎず、常に疑いを持って、PDCAを回しながら正解に近づいていくことが、変化の激しい現代にとって重要だと僕は考えています。

 

045 じつは、あのブログは"スプリット ラン テスト"でした。