082 津田大介さんがいう「メディア リテラシー」って何だろう?

SMAP解散のニュースは、SMAPファンならずとも多くの関心を集め、同時に多くの方がテレビを見る機会を作りました。 SMAP解散のニュースを知った瞬間、僕も驚き、思わず新聞の速報をシェアしましたが、冷静に考えると芸能界の方々が、あえて大きな売上や利益を放棄するはずがないと思い直し、数分後に投稿したシェアを削除しました。

 

一説には「解散報道から解散を経由し、再び再結集するまでのシナリオがある」という説まで流れました。確かに、そうなれば、解散時のCDや最終ツアー、また最後の出演番組など膨大な売上が見込めます。そして、同様に再結成時に再び、CDの販売、再結成ツアー、復帰初出演の番組など膨大な売上が見込めます。

 

そう考えると、納得ができますし、実際に解散後、短期間で再結成したことで膨大な売上をつくった大物グループもあります。

 

何が真実か?芸能業界にいない僕にとって判りません。インターネット上には「SMAP解散時は636億円の損失」*1 という情報もありましたが、そのような規模のお話を、個人的な感情で決定するということが本当にあるのか疑問です。

 

話は変わりますが、ロックユニット TM NETWORKの木根尚登さんが、1月11日放送の「しくじり先生 俺みたいになるな!! 3時間スペシャル」(テレビ朝日系)に出演し、エアギターによる”しくじり”人生を告白し話題になりました。

 

その番組の中で、木根尚登さんは「最近のミュージシャンは、LIVEでみんな演奏していない。音はLIVE前に作ってあるので、LIVE中に曲順は変えれない」そして「今はボーカル以外の音はDTM(Tesk Top Music)で作れる時代」と語りました。

 

つまり「ミュージシャンは私たちを騙している」と暴露したわけです。確かに最近YouTubeで話題のエレクトーンの天才あすかちゃんの“STAR WARS”や、“Back to the Future” を目を伏せて聞いているとフルオーケストラが演奏しているのか?と思えるほどですから、DTMの技術発展は目覚しいのかも知れません。

 

さらに初音ミクの登場以降ボーカルでさえ、完全デジタル化しようとアメリカOutput社は、”The first truly Modern Vocal Engine”という市販システムを使って完全な聖歌隊が再現できたと発表しました。

 

つまり、私たちが耳にしている音楽は実際に謳われ、演奏されているのか判らない時代、「仮想音楽」の時代に突入していると言えます。

 

ところで、Facebookにも投稿しましたが、1月13日放送の「ナニコレ珍百景」(テレビ朝日系)で、LCCのバニラ エアの竹内さんという男性CAさんが紹介されました。親しみのあるユニークな機内放送を行うということで、機内で乗客が爆笑しているかのような模様が放送されましたが、Youtubeで竹内さんのアナウンスを見ると乗客が爆笑している様子はありませんでした。

 

つまり、笑い声や「えぇ〜」と言う声は番組でアフレコされた音声だったようです。フライト前の緊張する乗客を和ませようとする竹内さんのアナウンスは素晴らしいものですが、場の雰囲気を創作するメディアに違和感を感じました。

 

マスメディアを通して、私たちが見ているものは、ニュースさえ創作された作品であり、音楽や笑い声さえも仮想現実なのかも知れません。

 

SMAPのメンバーたちが、謝罪会見を行った1月18日のSMAP×SMAP(フジテレビ系)放送の翌日、ITジャーナリストの津田大介さんが「メディア リテラシー」と言う言葉を使われていました。そもそもリテラシーとは、特に和製英語において「何らかの表現されたものを適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現する」という意味に使われている言葉である*2 ことからすれば「媒体をを適切に理解・解釈・分析・記述し、改めて表現すること」を示していたのでしょうか?

 

「活字になっているものをすべて信じてはいけない」という言葉が英語にはあるそうです。これは印刷物だけではなく、米ギャロップ社のメディアに関する世論調査の結果によると「米国人の6割は、メディアの報道に疑問を持っている」という世論調査も出たそうです。

 

日本人である我々も「メディアは現実ではない」そのことを前提にしてメディアに触れなければ誤った判断をしかねないことに注意する必要がありそうです。

 

認知心理学者のブリストル大学 ステファン レワンドスキー(Stephan Lewandowsky)教授は、自身の研究から「ある情報の妥当性や情報源を計るのは、単にその情報が正しいと信じてしまうよりも難しく、真実を追究するにはさらなるモチベーションや認知力が必要だ」*3 と論じました。つまり、テレビで見たことを疑うより真実だと思うことの方が楽だと言うことです。

 

これは、遺伝学者であった、グレゴール ヨハン メンデル(Gregor Johann Mendel)が1865年に報告した「優性の法則、分離の法則、独立の法則」からなる「メンデルの法則」に含まれる「確証バイアス(Confirmation bias)」と呼ばれている現象です。

 

スパイク リー監督の映画”Oldboy”は、テレビから流れる放送を信用してしまい、不幸な結末に至ると言うストーリーでしたが、そうならないためにメディアが発信する報道は、疑ってかかるべきかも知れません。

 

*1:日刊スポーツ『SMAP解散で日本経済に636億円の損失』参照
*2:Wikipedia日本語版『リテラシー』より引用
*3:lifehacker(2012年10月25日付 )『なぜテレビやネットの言うことをすぐに信じてしまうのか? その心理と回避法』

 

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