083 MBAを目指すあなたに選んで欲しいビジネススクール

大学入試もピークを過ぎ、この時期になるとMBAを目指すビジネススクールの広告を目にする機会があります。今日は目指すべきビジネススクールとはどこなのか?ということについて考えたいと思います。

 

少し古い情報になりますが、2014年10月1日付 “THE WALL STREET JOURNAL”の『M.B.A. Applications Still on a Hot Streak』によると、2011年から2014年にかけて、MBAの志願者は増加傾向にある*1 と論じています。「景気が悪くなると転職を希望する会社員や事業構想を考える経営者が増えるので、MBAの志願者が増える」という意見を耳にすることもありますが、どうもその相関は明らかではないようです。

 

ところで、日本のビジネススクールをグローバルな視点はどう捉えているのか?みなさんはご存知でしょうか?きっと良い評価はされてないんだろうと想像されていると思いますが、残念ながらそのご想像通りです。

 

“The Economist”は、同紙が独自に選定した135校を対象に以下の厳しい審査基準に基づいて毎年ランキングを発表しています。

 

・卒業生の就職率、就職先業界の多様性 35%
・卒業後年収 15%
・GMATスコア 6.6%
・教授陣の博士号保有率 3.5%
・学生による教授陣の評価 3.5%
・卒業生の国際多様性 3.3%
・在校生に対する卒業生倍率 3.3% 他

 

そのランキングにおいて日本のビジネススクールの最上位は、辛うじて100位以内に1校のみ90位に登場します。もちろんMBAの聖地アメリカの名門校が上位を占めることは当然ですが、アジア圏では、インドのIndian Institute of Management Ahmedabad が60位、香港のHong Kong University of Science and Technology(HKUST Business School)が78位、シンガポールのNational University of Singapore(The NUS Business School)が87位、と健闘しています。

 

ところで皆さんは、90位の日本のビジネススクールを言い当てられるでしょうか?やっぱり、慶応義塾大学大学院 経営管理研究科? それとも早稲田大学大学院 ファイナンス研究科? いや実践的なグロービス経営大学院 経営研究科? やっぱり国立の一橋大学大学院 商学研究科? このあたりを想像される方が多いと思いますが、じつはそうではありません。正解は、International University of Japan Graduate School of International Management です。新潟県南魚沼市にある「国際大学(IUJ)」という大学です。

 

皆さん、国際大学(IUJ)をご存知でしたか?国際大学(IUJ)は、1982年に設立された日本初の大学院大学です。そして、日本で初めて100%英語による授業を導入した大学院です。全寮制の原則の下、英語を公用語とする学内では、あらゆる場所で英語によるコミュニケーション能力が育てられます。そのため、学生構成は極めて多様で、約40カ国・地域から集まった学生及び教員がひとつのキャンパスに身を置くことにより多文化的、多民族的な環境を形成しています。

 

そう言われても仕事を続けながら自宅から通うとなると、IUJは無理だし、離職するなら海外のビジネススクールに行きたいという方も多いでしょう。しかし、比較的日本人留学生が多いHarvard Universityや、Kellogg(Northwestern University)でさえ、2017年卒で其々13名しか日本人学生がいない*3 ことからすると、その障壁は高いのでしょう。

 

確かに、慶応義塾大学大学院 経営管理研究科や一橋大学大学院 商学研究科など、皆さんがご存知のビジネススクールも国内のランキングである「日経Bizアカデミー」などでは上位にありますが、その審査基準は主に学生(院生)の満足度調査によるところが大きく、The Economist紙の厳しい審査基準とは比較になりません。

 

アメリカではAACSB、ACBSP、IACBE、ヨーロッパではAACSBに加えてAMBAとEQUISなど権威のあるMBAの認証機関というものが存在し、これらの機関から認証(Accreditation)を受けるのがMBAの証として必須ですが、日本のMBAの中で、これらのグローバル認証を受けているのは、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科と名古屋商科大学 大学院のみです。つまり、他の国内MBAの教育レベルは、認証を受けるに至っていないレベルなのかも知れません。

 

そこで、グローバルの視点で日本のビジネススクールを公平に評価していると僕が信憑性を感じているのが、フランス パリに本部を置くEduniversal Groupの以下のランキングです。

 

1位 慶応義塾大学大学院 経営管理研究科
2位 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科
3位 神戸大学大学院 経営学研究科
4位 京都大学大学院 経済学研究科
5位 名古屋商科大学大学院 マネジメント研究科
6位 東京理科大学大学院 経営学研究科
7位 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科
8位 国際大学大学院 国際経営学研究科
9位 明治大学専門職大学院 グローバル・ビジネス研究科
10位 北海道大学大学院 経済学研究科
   (2014年度版)

 

これを見ても、国際大学は8位に入っています。現実的に、仕事を続けながら自宅から通えるビジネススクールを考えるとなると、このEduniversal Groupのランキングを参考にして、それぞれの学校のシラバスや教授陣、立地などを考慮して、ご自身の希望に合った学校を選ばれることをお勧めします。

 

どうしても選べないという方は、まず広告の少ない学校、特に広告費が安そうな媒体や、小さな広告を出稿している学校は、志願者が少ないわけですから、優先しない方が良いでしょう。また、ウェブサイトの UI/UX が現在のトレンドに合っていなかったり、スマートフォンに最適化されていないサイトのビジネススクールで、時代に適合したビジネスを学べるはずがないでしょう。

 

さらに、講師や教授がSNSやブログを使って頻繁に志願者の募集を促しているような学校は言うまでもありません。

 

*1: THE WALL STREET JOURNAL(2014年10月1日)『M.B.A. Applications Still on a Hot Streak』

*2:The Economist『Which MBA?』

*3:AXIOM『日本からのMBA留学生数の推移 / 留学生数の変化、私費留学と公費 / 社費留学生の人数の変化』

 

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