087 赤字を黒字に変えたければ経営者は考え方をこう変えるべき

2014年3月に国税庁が発表した「平成24年度分法人企業の実態(会社標本調査)」によると、赤字会社は調査法人全体(253万5272社)の70.3%の177万6253社もあるそうです。さらに、毎年10,000社~15,000社の企業が倒産(破産)しているそうです。

 

その中には、この10年で1兆5419億円の通算純損失を出した東京電力や、1兆1025億円の通算純損失を出したパナソニック、6,429億円の通算純損失を出したシャープなど、名だたる企業が驚くべき金額の損失を出しています。

 

その他にも、三菱自動車、パイオニア、NEC、ソニー、USEN、ベスト電器、OKI 、三井住友建設、東京ドーム、ミサワホーム、日本板硝子、レナウン、レオパレス21 *1・・・などがリストアップされ、黒字経営がいかに難しいかが伺えます。

 

このブログを読んでいただいている方の中にも、赤字または赤字経営に近い自転車操業状態で悩んでいる経営者の方もおられるのかも知れません。意外にも、そういう赤字経営者には、真面目で勤勉な経営者が多いと感じます。そして、そんな経営者は売上を上げようと、新規取引先や新商品、新サービスを開拓・開発しようと必死になります。

 

精神神経科学的に考えると、このような経営者は「コンコルド効果(Concorde effect)」を受けやすいと考えられます。コンコルド効果とは、アークス ハル(Arkes, Hal R.)とエイトン ピーター(Ayton, Peter)が、1999年に『The sunk cost and Concorde effects: Are humans less rational than lower animals?』で発表した心理効果です。

 

超音速旅客機コンコルドの商業的失敗を由来とし、ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない状態を指す *2 心理現象です。

 

1970年代に行われたコンコルドの開発には、約4,000億円(日本円)の開発費を要したそうです。その膨大な開発費をなんとか回収しようと赤字を垂れ流し続けながら、英仏共同の会社が経営を続けた結果、数兆円の債務を抱え、ついに倒産したそうです。

 

このコンコルド効果はビジネスだけでなく、ひとは「付き合った期間」が長い分だけ、その相手に執着してしまう傾向がある。また長年付き合いマンネリ化した関係になり、お互い感情もなくなっているが「今迄のことを考えると別れるのがもったいないから」という気持ちが働き、別れを選択できなくなってしまうなど、恋愛などにも影響がるといわれています。

 

では、赤字会社の経営者の脳内でどのようにコンコルド効果が働いているのかというと、採算の合わない取引先があっても、利益のでない商品やサービスがあっても簡単に止めることができないということです。ゆえに、これまで行ってきたビジネスはそのままに、新規取引先や新商品、新サービスを追加しようと考えます。

 

しかし、赤字の会社と取引したい会社があるわけでもなく、ましてや資金にも余裕がない状態で、画期的な新商品、新サービスを開発するのは至難の技です。ですから、赤字会社の経営者がまずやるべきことは「不採算あるいは薄利な得意先との取引を止め、不採算あるいは薄利な事業から撤退すること」です。

 

沈没しそうになっている船に例えるなら「海水をかき出す」より「船底の穴を閉じろ」ですね。

 

「そんなことをしたら、さらに売上げが下がることは明白だ!」と、お叱りを受けると思いますが、その気持ちこそが、コンコルド効果なのです。実際には、不採算得意先との取引を止め、不採算事業から撤退すると、必要のない設備や人材が見えてきます。そうでなくとも設備や人材に余裕が生まれ、新規取引先や新商品、新サービスを開拓・開発しやすくなります。

 

そうして、新たな事業を立ち上げても、何年も連続して赤字が続くようであれば、再び撤退も考えなければなりません。損失につながっていることが分かっていても、それまでの投資を惜しみ、止められなくなるという負のスパイラルに陥らないように、どの位の負債までを限界とするのか?どの位の期間までを限界とするのかを、新たな事業を立ち上げる前に決めておくことをお勧めします。

 

*1:東洋経済のデータベースサービス作成のデータ参照
*2:Wikipedia日本語版『コンコルド効果』

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