111 世代によるウェブメディアコミュニケーションの違いに気づいていますか?

月刊誌「サイゾー」の発刊元である株式会社サイゾーが運営するビジネスマン向けのニュースサイト”ビジネスジャーナル(Business Journal)”に『Facebook、若者離れ&ユーザー激減が深刻…もはや、おじさんの道具?』というタイトルの記事が投稿されました。

 

記事の内容を見ると、Facebookの利用者が増え過ぎ、あまりにも多くの人と繋がり利用することに疲れた。また、多数のひとが利用するよになったことで、会社の上司や取引先の人とも繋がり、プライベート利用をしにくく、さらに業務連絡などもFacebookのメッセージを介して送られてくるようになって開くのも嫌だし、親が使っているからやめたという若者も急増しているそうです。

 

そもそも、FacebookなどのSNSはプライベートユースを前提としていますから、ビジネスでの利用やプライベートを公開したくない相手が介在してくれば利用が減るのは当然でしょう。しかし、Facebook社の立場で考えれるとどうでしょうか?

 

感度の高い若者がスタートアップから利用してくれたことでインフルエンサーとしての役目は十分に果たしてくれました。しかし、若者の利用だけでは発展的なマネタイズは期待できません。そこで、今後は序々にビジネスユースにシフトし、消費行動が活発なシニア層を狙って、広告をマネタイズの軸にしていくと考えるのが妥当でしょう。

 

最近、メッセージにグループ通話の機能が加わったことも、簡単に電話会議ができることを狙ったサービスの拡大だろうと感じますし、詳細なアナリティクス機能も明らかにビジネスユースの多機能化でしょう。つまり、そもそもプライベートユースを前提としていたウェブメディアが、ビジネスユースでの利用にシフトして来たと解釈するべきであり、「Facebookの終焉」と解釈するのは大きな誤りだと私は感じています。

 

ところで、「Facebook おっさん」とウェブ検索すると「都内で働く20代OLにおじさん達の「イタい投稿パターン」を聞いてみた。」と言う記事*1をはじめとして、いくつかのおっさんFacebookユーザーに関するの記事があり、その内容は以下のようなものでした・・・

 

・朝ニュースで流れていたタレントの不倫報道を『ショック!好きだったのに…』の言葉とともに投稿する”速報おっさん”

 

・政治に関心があるよってことを言いたいんだろうけど、自分の物差しで語っているから同調しづらい”政治に口出しおっさん”

 

・かわいい一面を持ちあわせていることをアピールしたいのか、子猫が眠っているGIF動画をシェアする”ペット動画シェアおっさん”

 

・昔の免許証の写真などを『たまたま整理してたら出てきた』の言葉を添えて投稿する”「若い!」コメント待ちおっさん”

 

・どうでもいいおっさんのランチ写メを投稿する”せめて店の情報くらいキチンと紹介せーよ!おっさん”

 

・必ず最後に「美味しゅうございました」との言葉を添えて写真を上げてくる”締めの言葉添えおっさん”

 

・一日に数件の投稿をする”ただただウザいおっさん”

 

・・・どうですか?確かに若者の主張は納得できるものばかりです。しかし、若者には「Facebook=プライベートユース」の概念は捨てて頂き、「ビジネスユース=Facebook、プライベートユース=LINEやInstagram」とカテゴリー分類していただいてはどうでしょうか?

 

グローバルにおいてはTumblrやLinkedInなどのビジネスユース向けSNSは活発に利用されていますが、日本ではその兆しもなくFacebookをその代用として考えるのが妥当だと私は感じています。

 

また、投稿内容だけでなく、シニア層は世代によるウェブメディアコミュニケーションの認識の違いに気づくべきでしょう。そもそもシニア層は、電話やFAXといった1×1のメディアによってヒューマン コミュニケーションをとってきた世代です。ですからSNS上でも1×1の会話調の文章の交換をする傾向にあります。

 

しかし、ウェブメディアは多くの人が同時に閲覧する1×100や1×1000あるいは1×10000と言ったメディアです。1×1なら笑い飛ばせる”皮肉なギャグ”もFacebookのようなSNSでは、想像を絶する人数のひとが閲覧し、場合によっては相手の社会的イメージを失墜することもあることを認識する必要があります。

 

物心がついたころからコミュニケーション メディアがウェブだったデジタル ネイティヴ世代にとってそれは常識であり、だからこそ他人からの評価を避けるために”コメント”や”いいね!”を容易にしないのでしょう。

 

私の場合Facebook上の”お友達”は2,000人以上います。日本人ユーザーの平均友達数は108人だそうですから、”コメント”や”いいね!”は、200,000人以上の方の目に触れている可能性があります。Facebook上でコメントを頂く場面を例えるなら「2,000人の人がいるホールで壇上にいる私に対してコメントをする姿を、200,000人以上に向けて配信しているような状態」なのかも知れません。

 

この世代によるウェブメディアコミュニケーションの認識の違いに気づない限りは、いつになってもシニアユーザーが”◯◯おっさん”と揶揄されることは避けられないと私は考えています。

 

*1:日刊SPA!(2016年1月11日号)『おっさんの“イタい”Facebook投稿―昔の免許証を「たまたま整理してたら出てきた」とアップ』

 

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