011 どうすれば伝わりやすい文章になるか?ということを心理学的に考えてみた

先週、とあるビジネススクールの学生さんから「校内誌の原稿を書いて欲しい」というメッセージをいただきました。そして、その内容が「1.所感 2.エピソード 3.在学生に一言 4.紹介文(プロフィール)1~3は435字 4.110字」というものでした。


みなさんは、このテキストを見てどう解釈しますか?相手が親しい方なら「どういうこと?」なんて質問もできますが、お会いしたこともないし、メールやメッセージの交換もしたことのない初対面のお相手なので質問もしづらく、所感435文字、エピソード435文字、在学生に一言435文字、紹介文(プロフィール)110文字という構成の原稿を送りました。


すると「本文全てで435文字なんです」との返信がきました。なるほど、そういうことか?ということで、紹介文(プロフィール)110文字を内包した435 文字の原稿を再送しました。すると今度は「合わせてお願いしております110字のプロフィールもご協力お願いできないでしょうか?」との返信がきました。


この一連のやりとりを見ると、僕に読解力がないと思われる方が多いかも知れませんね?しかし僕が欧米育ちの日本人だったら、同じように読解力がないと思われるでしょうか?グローバリズムの時代といわれる現代において、相手に読解力を求めることは適切でないと感じています。「危険な文章講座」の著者、山崎 浩一 先生は「どれほどわかりやすく素直な文章であっても、書き手の真意が書き手の意図したように読み手に伝わるとは限らない。いや、むしろ「伝わらない」という前提に立って「伝えよう」とする努力こそが、文章のさまざまなテクニックを生み出したのだとさえいえるくらいだ。ぼくたちはあらゆるメッセージを、自分が受け容れたいようにしか受け容れない傾向がある。」と論じておられます。


では、どのように書けば読み手に伝わりやすいのか?ということを心理学的に考えると、いくつかの概念を応用することができます。ここではその2つについてご説明します。先ずはプリフレームという概念です。プリフレームとは、プリ=事前に+フレーム=枠 を合わせた心理学用語です。前に枠を作る、つまり”メッセージの枕詞”のように、メッセージの交換を始める前に、”枠”を意図的に作って、相手に会話の方向性に対する心構えをしてもらうというものです。今回のケースを例に考えると・・・


「全体で545文字以内の原稿を書いていただきたいと思います。所感・エピソード・在学生に一言 について435文字以内の文章。紹介文(プロフィール)について110文字以内の文章という二つの文章の執筆をお願いします。」


どうですか?分かりやすくなっていませんか?


プリフレーム以外にも、PREP法という概念もあります。このPREPとは、Point(結論)▷ Reason(理由)▷ Example(事例)▷ Point(結論)の頭文字を取ったもので、この流れで文章を組立てるという概念です。このPREP法で今回のケースを考えると・・・


「今回は、435文字以内の文章と110文字以内の文章の執筆をお願いします。435文字以内の文章は、所感・エピソード・在学生に一言。110文字以内の文章は紹介文(プロフィール)で、二つの文章をお願いします。」


こちらも、分かりやすくなっていませんか?


今回のケースでは内容が浅いので、プリフレームでもPREP法でも大きな変化がありませんが、理由から結論までのお話が複雑な場合などは、特徴が出やすいです。もう一度、二つの概念をご説明すると、プリフレームは、最初に全体の枠を説明をするということ。PREP法は、結論▷ 理由▷ 事例 ▷ 結論の流れで説明するということです。


いずれにせよ、将来のリーダーを創出するためのビジネススクールで、リーダーシップを学んでいるわけですから、目的(テーマ)からはじまる指示ができるよに、頑張っていただきたいと思います。もし、これがビジネスの場面でのことだと想像すると大きなトラブルになったことでしょう。


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