003 Apple Watchは売れない

2015年4月24日のApple Watch日本国内発売日から5日後、僕はとある大学院の講義内でお話する機会をいただきました。その時に僕がお話したのは「Apple Watchは売れない」というお話でした。このブログを読んでいる方の中にも、その話を聞いていただいた方もいるでしょう。ここでいっておきたいのは、僕がいう「売れない」というレベルは、Appleの過去の実績と比較して、という意味です。2015年1月27日にティム・クックCEOは、iOS端末の累計販売台数が10億台を超えたと語りましたが、そんなレベルという意味です。当時ガジェット好きの間ではApple Watchの話題で持ちきりでしたし、キュレーションメディアでは「Apple Watchが成功しないわけがない」という記事さえありました。(気になる人は検索してみてください)ですから、ボクの「Apple Watchは売れない」という意見に対してネガティブな意見が出ました。

 

では、僕の「Apple Watchは売れない」という意見の根拠について説明します。腕時計型のウェアラブル端末は、Appleが初めて発売したガジェットではなく、Samsung(サムスン)は2013年10月にGalaxy Gearを発売しているし、Sonyは2012年2月にSmart Watch を発売しています。これらの先発商品との機能的な大きな差は少なく、むしろGalaxy Gearなどは単体で3Gに対応しています。その他にもApple Watch日本国内発売日頃にamazonを検索すると、すでに200種類ほどのスマートウォッチがありました。つまり、類似商品が既に販売されているし、おそらく売れているというレベルではないのに、先発商品と機能的な大きな差がない後発商品が売れる理由がないというのが一つ目の根拠です。マーケティング理論の中にファースト ムーバー アドバンテージ(First Mover Advantage)という理論があります。例えば、1971年に世界初のカップ麺として発売された「カップヌードル」は、現在も順調な売上を維持していますし、また、1987年に業界初のコンパクト洗剤として発売された「アタック」なども同様で、後発商品が先発商品に勝つのは困難であるという理論です。ちなみに、ハーバード ビジネス スクールのジョン ゴービル教授は、後発商品は先発商品に比べて「ただ優れているだけではダメで、既存の9倍は優れていなければならない」と論じています。

 

話は変わりますが「Apollo 13」という映画をご覧になったことがありますか?この映画は1970年に起こった実話がベースになっています。映画の中で、酸素タンクが爆発するという大事故に遭遇し、航法用コンピュータが使用不能になりましたが、OMEGA Speedmaster という腕時計を用いて、ロケット噴射時間の制御を行い全員無事に生還を果たしたことが描かれていました。ちなみに、クルーが着けていたOMEGA Speedmasterは手巻きなので、一定時間ごとに手巻きする限り止まることはありませんでした。でも、もしその時代にApple Watchがあったとして、あなたがApollo 13のクルーなら、OMEGA SpeedmasterとApple Watchのどちらを選びますか?ちなみに、Apple Watchは最大18時間しかバッテリーが持ちません。(気になる方は、Apple公式サイトでご確認下さい。( www.apple.com/jp/watch/battery.html)つまり、時計としての機能では、45年前の製品より劣っているのかも知れません。ちなみに、先ほどご紹介したSamsung Galaxy GearやSONY Smart Watch の最新モデルは、Apple Watchの2倍程度の時間、充電をしなくとも動くそうです。これが、僕が売れるわけがないといった二つ目の根拠です。

 

でも、売れないからといっても解決策がないわけではないでしょう。僕は次の三案を考えました。

 

① Apple Watchという商品名のままで行くなら、バッテリー寿命の改善など時計としての機能を最高域にする。

 

② Apple Watchという商品名をやめて、iPhoneがなくとも通信できるなど単体で使えるような機能にする。

 

③ 名前も機能も変えないなら、シンプルに販路を広げるか、単価を下げる。

 

さて、Appleはどういう戦略をとってくるんでしょうね?

 

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