015 あなただけではなく世界中が”なでしこジャパン”を応援した理由

このBlogは、FIFA女子ワールドカップカナダ2015決勝戦の前に書いています。ですから、どんな決勝戦になるのか分かりませんが、恐らく、日本人だけでなくアメリカ人を除く世界中が”なでしこジャパン”を応援することになるでしょう。そのことには行動心理学が影響しています。

 

行動心理学の領域に「アンダードッグ効果」、日本語だと「負け犬効果」という概念があります。その効果は、人間は弱い立場にある人や不利な状況に追い込まれている人を見ると、その人を応援したくなる心理状態になるということ。さらに、その人が一生懸命に努力する姿を目の当たりにする機会があれば、その思いはより高くなるという効果です。行動科学を研究領域とされる山形県立米沢女子短期大学の亀ヶ谷 雅彦 教授は、論文「選挙世論調査の規制と社会経済変数および政治制度の関係」の中で、アンダードッグ効果の指摘として「負けそうな候補者に票が集まる現象」と論じておられます。

 

FIFA女子ワールドカップカナダ2015決勝戦の相手、アメリカ女子代表の平均身長は169.3cm。準決勝戦の相手、イングランドの平均身長が169cmなので、ほぼ同等です。しかも、ベテランFWのメアリー・アビゲイル・”アビー”・ワンバック(Mary Abigail “Abby” Wambach)選手は181cmもあります。一方のなでしこジャパンの平均身長は163.3cmですから、アメリカ女子代表の方が6cmも大きいわけです。さらに、これまでの過去30回の対戦成績は1勝23敗6分け(ドイツW杯決勝のPK戦での勝利は公式記録上引き分けとして扱われているようです)と、なでしこジャパンが負け越しています。

 

つまり、対戦成績というデーターでも、平均身長という見た目でも、なでしこジャパンはアメリカ女子代表と比較するとアンダードッグ的立場にいるといえます。さらに国民性として、ビッグマウスなことをいっているアメリカ女子代表に対して、勤勉で真面目に練習をするなでしこジャパンの方が一生懸命に努力していると見る方が多いでしょう。このことから、日本人だけでなくアメリカ人を除く世界中が、”なでしこジャパン”を応援することになるということが予想されます。

 

さて、この「アンダードッグ効果」を、ビジネスにどのように活かすかということを考えると、「私の会社は起業したばかり」であるとか「少数の社員の会社です」ということが事実なら、それを隠さずに話して、それでも頑張っているということを主張するような営業トークを行ったりということが考えられます。2012年に公開された映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」で、鈴木オートの新米従業員ケンジが「泣き売」といって客を騙して万年筆を売るシーンがありましたが、それは「アンダードッグ効果」を悪用したケースとして、それがバレる結末として表現されていました。このように嘘ではなく真実であるということが「アンダードッグ効果」では重要です。

 

また、猛暑の時期でも誠意をもって積極的にクライアントさんに出向く姿勢を見せることや、販売員が少なく多忙な店内でも丁寧に接客する姿は「アンダードッグ効果」を招きやすいともいえます。あなたのお仕事に「アンダードッグ効果」がどのように活かせるか検討してみてください・・・

 

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